万八日記

初めまして、万八です。読んだ本や聞いたラジオ、旅、仕事で考えた事など、日々の感想を日記風に書かせてもらいます。皆さんが気楽に楽しめる文章を書きたいです。よろしくお願いします。

良質な漫画を読みました

今日も一日、終わりました。
お疲れ様でした。
私は引き続き、入院中です。


ビジネスライフとは隔絶された環境にいるので、時間の流れ方が異なる気がします。
老後はこんな生活になるのか、という感じがします。

病院内にある、池波正太郎原案、さいとう・たかを原画鬼平犯科帳を読んでいました。
秀逸だな、と思ったのは、「転落」でした。

20代頃の酒飲み場でのいざこざで時の鬼平に殴られ、結果的に職を失い、母も失い、妻にも逃げられ、挙句の果てには家財を売り払いながら惨めな生活を送ることになってしまった林葉作之助が、鬼平を逆恨みし、中年になってから殺しにやって来る、という話です。


漫画を見ている限りは、作之助の行為が救いようもないものであり、その馬鹿馬鹿しい逆恨み加減に、いつ平蔵が怒り出すか感じるところですが、鬼平は、なんと彼の非をあげつらうのではなく、自らの行為を恥じ、丁重に謝るのでした。
結局、作之助はそんな状況になった心のやり場を保てず、自ら命を絶つのですが、平蔵は調書にこれらの経緯を書き、お上にお役御免まで願い出るのでした。
この願いは聞き入れられませんでしたが、平蔵は最後に「業を背負って役目に励むのが、俺の罪か」とつぶやきます。

 作品を読んでいて、簡単に人を断じてしまう行為が、如何に浅ましいかを感じました。
池波氏も平蔵の江戸人の心意気と清廉潔白さを描いたのでしょうし、また、悪人を悪人として簡単に裁断しない優しさを描いたことに感激しました。
悪人の中にも極悪人や罪悪人がいれば、作之助のような不運な悪人もいる。
そうした一人一人への愛着を忘れてはいけないな、と改めて感じました。

 

明日も入院です。
こんな良質な作品が読めるのだから、漫画は素晴らしいですよね。
では、また。