万八日記

初めまして、万八です。読んだ本や聞いたラジオ、旅、仕事で考えた事など、日々の感想を日記風に書かせてもらいます。皆さんが気楽に楽しめる文章を書きたいです。よろしくお願いします。

梯久美子さんの講演を拝聴しました

昨日、JR千葉駅に直結している駅ビル「ペリエ」の屋上階にあるペリエホールで開催された、

ノンフィクション作家梯久美子さんが語る原民喜 千葉での愛の日々と、その生涯」

の講演を聞いてきました。

原民喜 死と愛と孤独の肖像 (岩波新書)
 

原民喜は1905年、広島県生まれで、慶応義塾大学に入学、山本健吉さん等の

優れた文学者に才能を認められるも左翼活動を行った罪で拘留されたことをきっかけに、

千葉へ退きます。
そこで1933年に結婚した妻貞恵さんを亡くし、広島県疎開

1945年8月6日に広島に落とされた原爆の被害を受けるも生き残り、再度上京します。

しかし、1951年3月13日、中央線の線路上で身を横たえ鉄道自殺をします。

 

最も有名な作品は広島の原爆について著した『夏の花』でしょう。
それ以外にも、「心願の国」「焔」「忘れがたみ」、詩人としても作品を残しており、

最近になって、様々な書物が復刊されています。

原民喜全詩集 (岩波文庫)

原民喜全詩集 (岩波文庫)

 
原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫)

原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫)

 

 今回は千葉駅付近での開催でしたので、原民喜の奥様貞恵さんが亡くなった

千葉の病院での話もして頂きました。

私は原民喜については、遠藤周作さんがエッセイで触れていたことでお名前だけは

知っていました。
そこからは、優れた戦争文学を書いた方、というようなイメージを持っていました。

夏の花・心願の国 (新潮文庫)

夏の花・心願の国 (新潮文庫)

 

そうしたイメージは正しかったのですが、梯先生が離された原民喜のイメージは、

それに加えて、今の言葉で言えば「コミュ障」で生きることに苦労しながらも、

優れた友人に文学者として認められ、奥様にも愛され、

奥様亡き後も哀しみの中に留まり、生き、残すべきものを残して死んでいった姿であり、

新鮮なイメージを与えて頂きました。

 

この原民喜が今になって改めて読まれている理由を知りたく思ったので、

質問させて頂くと、純粋に文章が美しいから、というお答えには不思議と納得がいきました。

また、原民喜が人の悪口を書いたりせず、自分の歌を生涯ただ歌い続ける、

経済的には生産性なんて全くない、という生き方を貫いたため、

そうした姿勢も生き方としては悪くないのではないか、と語られ、

こういう発想も現代に受け入れられそうだな、と思いました。

 

それ以外にも、彼の性格が現代の若者にも元気を与えていたり、哀しみに留まる、

という姿勢が、3.11の東日本大震災で心身共に傷ついた心に、ゆっくり悲しんでいいんだよ、

といったメッセージを伝えているのかもしれない、と思ったりもしました。

 

梯先生もユーモアがあり、女性らしい直感性を持った方で、魅力的な御人でした。

私自身は、こういう文学に関する話しを聞くことも大事だと思っています。

会社や仕事、経営や経済、政治に加えて、こうした文学への視点を大切にしたいです。

散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 (新潮文庫)

散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 (新潮文庫)

 

あなたの人生の主人公はあなた。
今日も素晴らしい一日でしたね。
明日も素晴らしい一日を過ごしましょう。

 

お互い、頑張りましょうね。
では、また。