サヘル・ローズさん主演「恭しき娼婦」を観てきました!
現在、都内特に池袋で「東京芸術祭2018」が開催されています。
そんな中、昨日は東京芸術劇場へ行ってきました。
目当ては新宿梁山泊第64回講演の「恭(うやうや)しき娼婦」。
ジャン・ポール・サルトル原作、芥川比呂志翻訳、金守珍演出、サヘル・ローズさん主演。
本日は千秋楽でした。
演劇を観るのは、大学時代以来なので、朝早くから目が覚め、本当に楽しみでした。
で、感想としては、とても面白かったです。
色々と考えさせられる作品でした。
こういう作品はきっと世間受けしないでしょうが、私は大好きです。
恐らくは、現政権を率いている安倍総理大臣の故郷山口県を暗に舞台とし、
演劇の中で70年改正されなかった憲法を改正した点を賛美し、
安倍晋三の「晋」の字を頂くことに自負を感じ、
選民意識からくる人種差別意識を強く持つ男とその社会を描き、
政治家が巧みに誠実に生きる女性を騙している姿を露呈させ、
権力によって有無を言わさず家宅捜索する警察を描いています。
こうしたアングラ的な要素もありつつ、クスっと笑える要素も保っています。
また、明らかに名指しで朝鮮人の名称を出し、関東大震災の時に井戸に毒を流した、
という説が劇中の社会内に流布していて、その経緯と選民思想とによる人種差別があり、
娼婦と政治家、警察官、といった職業的な差別関係も見えてきます。
ざっくばらんな内容を記載しましたが、非常に社会的な作品で、本当に色々と考えさせられました。
こういった社会が生まれないとも限らず、自分自身がそういった社会の中で、
どのように行動するのか、無難に生きるのか、反抗して生きるのか、逃げるのか、
それは各自の決断で有って、正解は無いと思いますが、
主演のサヘル・ローズさんは、現実に対して真っ向から闘う生き方を決断するのでした。
恭しき、とは、自分自身の誠実さと向き合う、という意味であり、
娼婦が主人公なのは、直情的でありながら、誠実であり、人に喜んでもらいたい、
そんな純粋な気持ちを持ちながらも高度な教育を受けておらず、
日々の生活に苦慮しなければならない存在の象徴として描かれていたのだと思います。
劇中の人たちの演技ははいずれも見事でしたが、サヘルさんの演技は特に迫真で、
エンドロールで去る前に涙をこらえていたのが良かったと思います。
日曜日に贅沢な気分を味わい、深い気づきと学びを与えて頂きました。
あなたの人生の主人公はあなた。
今日も新しい一日が始まります。
素晴らしい一日を過ごしましょう。
お互い、頑張りましょうね。
では、また。